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新しい光



2014年10月。

3人の日本人に
ノーベル物理学賞が授与されたニュースが
世界中を駆け巡った。

受賞は「青色LED」開発の業績を
讃えられてのことだ。

既に開発されている
赤色・緑色LEDに
今回の青色が加わることで
「色の三原色」が揃った。

 

白熱電灯、蛍光灯と比べ、
飛躍的に長寿命で
なおかつエネルギー効率の高いLED。
青色LEDの開発は、
照明のみならず、
新世紀を象徴する新しい光の
工業製品への応用範囲も
爆発的に広げたとのこと。

人工的な光を使った
様々な表現の可能性も
大きく広がることだろう。

今回のノーベル物理学賞のインパクト、
相当なものがあった模様。

というのも、
ノンキな明るいJ村でさえも
反応しているからだ。



ペンキの青に加えて、
LEDの青がこちらの店先を飾る日が
いずれくるのだろうか?



それとも新しい光が
村にやってくるころには。

この店先自体が
煙のように消えているだろうか?

  

近未来の定点観測候補として、
ここに記しておくことにする。
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定点観測・その1



★物件名:ゴボウ巻き
★所在地:J村内某公園

①2009年2月14日撮影(午前11時頃・晴天)



②2014年10月4日撮影(午後4時頃・曇天)



【メモ】

・「ゴボウ」部分の経年変化の状態から
 これが根を張った植物ではなく
 やはり「杭」であったことが判明

・次回観測日時は未定

※参考レポート

認めん



2014年10月4日、土曜日、午前7時頃。

テレビのニュースでは、
明日から台風18号の影響で
天気が崩れるとの予報。

雨が降り出すまでの時間を
何となくもったいなく感じ、
朝食前の10分ちょっとを使って、
自転車で村内を視察することに。

文字通り「朝めし前」のプチ・ポタリング。

明るい曇天の下、
サドルの上で風を切るのが心地よい。


 「オレ的には、
  今日1日をまだ始めた
  つもりはないんだけど……」


という風情のステテコ姿のおぢさんが
路上でぼーっとしている。

玄関ポストに
新聞を取りに出てきた
髪ぼさぼさのおばさんが着ている
色あせたピンクのスウェットは
きっと寝間着なんだろう。

部活動だろうか、
スポーツバックを下げた
制服姿の女子高生が、
確固たる足取りで歩道を行く。

今まで通ったことのない
真っ直ぐな細い路地に入ってみる。

ブロック塀越しに、
開いた窓の中をちらりとのぞくと、
薄暗い蛍光灯に照らされた
古い箪笥が見えた。
 
路地を抜け左折する。
 
やがて道が下り始める。
 
下り切り、
そのままくねくねと
蛇のように伸びる車道をいく。
 
ペダルをこぎながら
朝の空気を胸いっぱい吸い込む。


  (もう秋なんだな……)


そう思ったとたん、
歩道沿いに咲いた
大きな向日葵の花が目に入ってきた。




  「もう秋だと?わしは認めんぞ」


叱られた。

詫びるような気持ちで、
シャッターを切った。

朝焼けの町



2014年10月4日、金曜日。

明るいJ村から
直線距離でほぼ真南に
7kmちょっといくと、
私の出稼ぎ先がある。

テレビの天気予報では、
午後の遅い時間から
雨が降るかもしれないと言っていたので、
この日はいつものように自転車を使わず、
電車で通勤。

出稼ぎ先の最寄駅、
東京メトロ東西線の
早稲田についたのが、
午前5時半頃。

地上に出ると、
町が朝焼けの茜色に
ほんのり染まっていた。



信号を渡りながら東の空を見る。

思わず横断歩道のど真ん中で立ち止まり、
東の空を撮る。



朝焼けの町。


歩道を行く人の姿はなかった。


最上

 
明るいJ村駅を基点に、
東南東へ約17km、
江戸川区は篠崎にある
書店「読書のすすめ」の店主
http://www.dokusume.net/index.html
http://dokusume.com/modules/store/
清水克衛さんと、
水曜日の夜によく一杯飲んでいる。

一昨日の10月1日の夜もそう、
18時前の早目の時間だったが、


  「そろそろ行きますか」


と清水さんに促され、
2人で馴染の居酒屋さん
「最上(もがみ)」へ向かった。
http://tabelog.com/tokyo/A1312/A131205/13129048/

「最上」という店名は、
確か女将さんの故郷・山形に
ちなんでのものだったはずだ。

名物の焼き鳥はもちろん、
何を食べても美味しいし、
女将さんと大将の客あしらいもお見事、
酒も肴もついつい過ぎてしまうというやつ。

そういえばこの前も、
山形の夏の名物、
可愛らしいうす皮丸茄子の
おつけものが出てきて、
茄子好きの友人が、


  「うまい……」


と涙ぐんでいたっけ。

そんなことを思い出しながら、
灯りも人影もまばらな、
裏路地のような商店街を最上目指して歩く。

いつの間にかずいぶん日が短くなったし、
風が冷たくなった。


  「あれ?休みかな?」


隣りを歩いていた清水さんが言った。

通りの先に目を凝らす、
確かに最上の灯りが消えている。


  「ちょっと見てきます」


小走りで店の前まで行ってみると、
扉にこんな貼り紙が。









 


  「清水さん、これ」

  「ははは、まさかですよね、いいなあ~」


女将さん、ご実家に手伝いに行ったんだろう。

最上で飲めないのは
とても残念だったが、
寂しくはなかった。

清水さんも私も、
笑いながら灯りのついた
並びの小さな店に入った。

その時、
清水さんが何を考えていたかは
よくわからないけれど、
私はこう思っていた。

そうだ。

来週、最上にお邪魔したら。

焼きおにぎりを注文しよう。