職員Ｓ・村の中｜明るいＪ村

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消えてなくなる

２０１４年９月２７日、土曜日。

予報では晴れ続けるはずだった空が、
昼前くらいから突然曇った。

まさかとは思うけれど、
御嶽山の噴火の影響だろうか？

Ｊ村のほぼ真西にある御嶽山は、
直線距離でも２００ｋｍ以上離れている……

実際のところはよくわからないが、
ともかくも日の陰ってしまった
午後の村をぶらぶらと歩いてみた。

午前中の早いうちは
冷やりとしていた空気が、
どことなく蒸してきていた。

Ｔシャツ一枚に
デニムのロングパンツでちょうどいい。

ぐる～っと歩いて
駅前の喫茶店にたどり着く。

その正面あたり、
通りを挟んだ向かい側に、
かなり以前から
こんな貼り紙がされている。

そしてそのお隣には
こんなポスターが、
画面の真ん中あたりだ、
見えるだろうか？

拡大してみる。

ポスターの左下に載っている
模型の写真に
さらにフォーカスしてみる。

誰が得をして
誰が損をしてとか、
地域文化の命脈がどうだとか、
そういう大仰な話は
私にはよくわからないし、
あまり興味もない。

純粋に防災上の観点だけからすれば、
早々に計画を推し進めるべき
なのかもしれない。

けれども、ことが進めば。

間違いなくこの喫茶店は
跡形もなく消えてなくなる。

もちろん、
この小さな喫茶店を舞台にした
誰かの具体的な明け暮れも、
そこに集う人々の姿も消えてなくなる。

そこに降り積もってきた
誰かの思いも、記憶も、温もりも。

あとに残るのは、
取りつく島もないような
清潔で平板な感じの建物と
味も素っ気もない道路だけ。

少なくともこれは
動かしようのない事実だ。

誠に申し訳ないのだが、
この喫茶店、
外見を眺めるだけで
ホッと一息つけて満足してしまい、
いつも通り過ぎてしまう。

これまで味わわせてもらった
恩恵への感謝も込めて、
近いうちに入ってみよう。

先の立派なポスターの
右下にはこんな文言があった。

役場の近くだな。

今度行って、この目で見てきてみよう。

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ただいま

役場職員全員が
長期の出張で
２年半ほど村を離れていたら、
役場の中がカビだらけになっていた。

カビの名は「ＰＲ」。（笑）

「有料プラン」なる薬剤を散布すると
一気に駆逐できるとのこと、
薬剤の使用について
大至急会議を開こう。

村の看板は既存のスペアしか
使えなくなっているようだし、
看板の倉庫はまんぱんで、
新しいものを作っても
放り込んでおく余地はなさそうだし、
このあたりのことも
議題にあげなくては。

＊

２０１４年９月１４日、日曜日。

出張を終え、
本当に久しぶりに
職員一同が村内の公園に
たどり着いた時の写真を。

私たちが留守にしている間に、
村の様子もずいぶん変わった。

そしてこの先、
さらに大きく村は変わるだろう。

村の中を歩いていると、
あちらこちらに
その予兆が見え隠れしている。

せめて季節の光と緑だけでも、
変わらなければいいんだが……

ではでは、また。

桜がさいた

城の石垣の模様に合わせた柄の布で身を隠し
にじり寄ってきていた忍者が
突然姿を現すようにして、
春が、目の前にガバと躍り出てきた。

明るいＪ村役場職員の面々、

　　Ｓ「ほんとに、いつまでも寒い・・・・・・」

　　Ｋ「どうなってるのかしら・・・・・・」

　　Ｙ「私はそんなに寒くない、若いから・・・・・・」

　　Ａ「●△◆×☆っ！・・・・・・・」

というような具合に、
何となくまとまりのない感じで
いつまでも冷え込みの去らない季節を
過ごしていたんですが、
気がつけば、村では桜が満開。